妊婦さんは、ホルモンや体の変化に伴って、普段偏頭痛を持っていない人でも、頭痛に悩まされることが多くなります。
頭痛の原因は、おおよそ2つに分けることができます。

1. 緊張性頭痛

いわゆる“ストレス”による偏頭痛です。
辛いつわりが落ち着いて、やれやれと一息ついた頃に発症することが多いようです。
つわりの期間もストレスは多く感じていますが、吐き気や不快感といった症状が前面に出ているので、頭痛はあまり気になりません。
しかし、吐き気などが治まってくると、次第に頭痛が気になって仕方なくなるようです。
この頃から体の変化も目立ち始め、お腹をかばって姿勢が悪くなり、肩こりや腰痛から頭痛へとつながるケースもあります。
また胎児が成長してくると、血流量が増えるので、血管が拡張、頭痛をもたらす場合もあります。

2. 妊娠高血圧症による頭痛

妊娠高血圧症は、妊娠20週～分娩後12週の間に発症します。
高血圧症の主な症状は、高血圧のほか、むくみ、たんぱく尿、頭痛やめまい、倦怠感があります。
頭痛がひどい場合、ストレスから来る偏頭痛ではなく、貧血や高血圧症の可能性が高いですので、すぐに産院を受診してください。

妊娠中に頭痛薬を服用すると、薬の成分によっては、胎児に影響を与えてしまうものがあります。
服用してはいけない頭痛薬を飲むと、赤ちゃんに『胎児毒性』という影響が出るのです。
胎児の腎機能低下により、羊水過少になったり、産後、新生児高血圧症を発症する可能性が高くなります。
とくに妊娠初期は、胎児の器官形成に大切な時期なので、服用には細心の注意が必要となってきます。

妊娠初期に服用しても影響のない頭痛薬でも、後期に服用すると胎児に影響したりと、頭痛薬には、妊娠時期によって飲んでも大丈夫なもの、悪いものがあります。
自らの判断で市販品を服用するのではなく、まずは医師や薬剤師に相談することが大切になってきます。
その上で、薬の成分をきちんと学び、赤ちゃんに影響を与えないことを確認したうえでの服用をおすすめします。

飲んでもいいからといって、安易に服用するのではなく、用法・用量を守り、長期間の服用は避けてください。
妊婦にとってあくまで薬は最終手段です。
まずは、パソコンやスマホのし過ぎによる偏頭痛を避け、ストレスの発散、食生活を見直すことで頭痛を改善してみてください。

どうしても我慢できない頭痛に、即効性の高い薬(成分)をご紹介します。
医師、薬剤師に相談の上、用法・用量を守って服用してください。

◆ アセトアミノフェン
妊娠期間に関係なく、服用しても安心な解熱鎮痛薬です。
小児用の解熱鎮痛剤としても利用され、胎児の動脈管収縮などの影響がないため、妊婦が服用してもOKとされていますが、即効性は期待できません。
【市販薬】ノーシン、タイレノール

◆ イブプロフェン
即効性がありますが、妊娠8週目以降は避けてください。
【市販薬】イブ、バファリンルナ

◆ アスピリン
妊娠初期(1週～15週)にアスピリンを含む頭痛薬を服用すると、奇形児で生まれる可能性があります。
【市販薬】バファリンＡ、バファリン顆粒、ケロリン

◆ カロナール
アセトアミノフェンを主成分にしているため、かつては服用しても問題ないとされてきましたが、妊娠後期に服用すると、胎児の動脈管が収縮し、新生児遷伸性肺高血圧症を引き起こすことがわかってきました。
服用はおすすめできません。

◆ ロキソニン
安全性が確立されていないので、服用はおすすめできません。