おへそがぷっくり膨らんでいる、、、いわゆる“でべそ”。
赤ちゃんによく見られますが、でべそには2種類あります。

① 臍(さい)ヘルニア
② 臍突出症

赤ちゃんに多いのが①の臍ヘルニア。
赤ちゃん全体の20％が臍ヘルニアになり、とくに未熟児は、出生体重1000～1500gで、84％の赤ちゃんに臍ヘルニアが見られるそうです。
モデルの藤田ニコルさんは、でべそでも有名ですが、彼女の場合や成人に多いのは②の方です。

臍ヘルニアや臍突出症は、成長や発達の面では何の問題もありません。
おへそが出ているからと言って、生活に支障をきたすわけでもありません。
5人に1人の赤ちゃんに見られるよくある症状で、審美的な(見た目)問題だけなので、深刻に考える必要はありません。

成長に問題ない！と言っても、やはり自分の子どもがでべそだと、気になるもの。
そもそもおへそとは、何なのでしょう。

【おへその仕組み】
赤ちゃんとママは、お腹の中では、臍帯(へその緒)でつながっていますね。
産まれるとへその緒を切るわけですが、ホースのようなものをちょきんと切れば、穴の開いた空洞ができますね。
通常は、穴の開いた部分に、筋膜(きんまく)などの硬い組織ができ、穴をふさいでくれます。
穴をふさいだ筋膜の上に皮膚がおおわれ、おへそとなるのです。
筋膜には、脂肪や筋肉がつかないので、窪んだ状態になるわけです。

【臍ヘルニア】
筋膜ができず、皮膚のみでふさがっている状態のこと。

◆状態◆
・ 臍ヘルニアの大きさは、1cm～5cmまでとさまざま
・ 閉じていない穴から、腸や空気が持ち上げられ、ぷっくりと膨らむ
・ 膨らんでも、皮膚が破けることはない
・ 生後1～2週目から目立ち始め、3ケ月頃までは大きくなる

◆原因◆
・ おへそ周りの筋肉の発達が、未熟なためになることが多い
・ ほとんどの場合生まれつきで、医学的根拠もなく、予防できるものではない(へその緒の切り方とは関係がない)

◆見分け方◆
・ へそを押さえると、皮膚の下で、腹筋のふちに触れることができる
・ 泣いたり、うんちをしている時など、いきむとおへそが風船のように膨らむ(通常は収まっている)

【臍突出症】
筋膜はふさがっているが、皮膚の膨らみが残ったり、ゆるんでいたりする状態のこと。

皮膚の下で、お腹が開いていると思うと、ますます心配になってくるパパママも多いですよね。
でも、大丈夫です。
90％の赤ちゃんの場合、2歳くらいまでには穴は自然と閉じていきます。
ハイハイやおすわりができるようになり、腹筋がついてきて、筋膜も成長してくるようです。
痛がったり皮膚が変色してきたり等、問題がなければ、様子見で大丈夫です。

2歳までにできる治療法として、“圧迫療法”というものがあります。
おへそにスポンジや綿を詰めて、テープで押さえ、いきんだときの膨らみを抑える治療法です。
治療期間はおよそ1～2ヶ月程度で、科学的根拠はないそうですが、産院で取り入れているところも多いようです。
気になる方は、産婦人科や小児科に相談に行ってもいいかと思います。

ほとんどの場合は2歳までに穴が閉じてしまうのですが、残念ながら10％ほどの赤ちゃんが、閉じないまま残ってしまいます。
その場合の治療法は、手術しかありません。
傷が目立たないように、おへその内側の皮膚を切開し、隙間を閉じ、おへその形を整えるという簡単な手術です。
入院期間も2泊3日ほどで、健康保険適用になります(臍突出症の場合は、自費診療)。
赤ちゃんのでべその場合、ほとんどが自然に治っていくので、生後早い時期に手術する必要はありません。
2歳を過ぎても治らない場合は、専門医に相談してみてください。